パッシング

ある男性が夜遅くに車を運転していたときのことだ。

対向車線を走る一台の車が、すれ違いざまに彼の車に向けてパッシングをしていった。

時間が遅いので道をいく車はまばらであったが、その後も彼の車とすれ違う車のほとんど全てが何故か彼の車に向けてパッシングをしていく。

『いったいなんなのだろう?』
彼は疑問に思いながらも、後で車を調べてみればいいと思いそのまま走り続けていた。その時、突如彼の車の背後から騒音が響いた。
彼の車の後ろにピタリとつけた大型トラックが、彼に向けて何度もクラクションを鳴らしてきたのだ。

トラックの運転手はなぜか上の方を指差し、次に彼に向かって車を路肩に止めるように合図した。

彼には何が起きているのかさっぱりわからなかったが、とりあえず指示に従い車を路肩に止めた。続いてトラックも路肩に停車した。

彼は車から降りるとトラックに向かい、運転手に『いったい何があったのですか?見たところ、私の車に異常は無いようですが…』と尋ねた。
すると、運転手は青ざめた顔でこう答えた。

『あんたの車の屋根の上におかっぱ頭の女の子が座っていたんだよ。あんたが車を止めたとたん、すーっと消えちまったがな……』

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